ドクターズインタビュー
内視鏡の専門医になろうと考えたきっかけを教えてください
私はもともと大学病院の放射線科医です。他の診療科と連携しながらCTやMRIなどの画像診断が主な仕事でした。患者様が訴える不調や病気の原因を探るべく画像の読影を続け、体のさまざまな部位で発症する「がん」への知見を広げていました。
そんな中、内視鏡に興味を持つようになったのは、地域医療連携病院に出向いてからです。多くのバリウム検査(胃透視、注腸造影)や内視鏡検査を施行する機会に恵まれました。地域での臨床を通して、日本人に胃がんや大腸がんが多いことと、検査に不安を抱える方が多く発見時はすでに進行がんが多いことを再認識しました。
しかし、胃がんや大腸がんは自覚症状のない早い段階で発見できれば完治できる病気。大学病院で放射線治療・抗がん剤治療を行う末期がん患者様を診て来たからこそ、早期発見・早期治療の重要性と、特に消化管検査は術者の技術により病変の発見に大きな差があることに気づき、内視鏡のスペシャリストとしてがんの撲滅に貢献したいと考えるようになったのがきっかけです。
2008年の開業当初から“苦痛のない楽な内視鏡検査”を掲げていらっしゃいます。
久留米大学医学部卒業後放射線科入局。国立がん研究センター中央病院へ留学し消化管診断学を学び、さらには、大腸内視鏡検査・大腸がんの世界的権威工藤進英先生がいらっしゃった秋田赤十字病院への留学。福岡・佐賀を中心に大腸内視鏡検査・治療を専門として勤務。多い日には1日に胃カメラ15件、全大腸内視鏡検査20件、EMR3件をひとりでこなしていました。
検査症例数と比例するように、内視鏡検査の技術も徐々にレベルアップ。大腸カメラで手術歴のない方では挿入から盲腸まで最短で28秒で到達できるようになりました。短時間で挿入できることは非常に重要です。苦痛なく早く終わった方が患者様は楽です。短時間挿入は大腸をきちんと短縮している証拠であり、ブラインドが少なく見落としが減ります。より多くの患者様の病変の早期発見・早期治療につながるはずです。
しかし、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)に対して、「怖い」「恥ずかしい」といったイメージを持っている方が多いのも事実。そこで地域に根付いたクリニックを開業し、苦痛がない内視鏡検査を提供することで、地域の皆さんが持つ内視鏡へのイメージを変えたいと考えたのです。
ひとりひとりに寄り添った丁寧なカウンセリングを行い、ご希望があれば鎮静剤を用いたセデーション下での検査も可能。さまざまな面で患者様に安心していただく環境と確かな技術で、約20年に渡り佐賀の内視鏡施設として選ばれてきました。
専門病院や大学病院と遜色のない充実の内視鏡検査設備も大きな特徴。
当院ではオリンパス社製の内視鏡システム「EVIS X1」や富士フイルム社製のレーザー内視鏡「LASEREO 7000システム」を導入。最新のビデオスコープや粘膜表面の微細な血管を観察するNBIと組み合わせることで精度の高い検査を実現しています。
私がこうした設備にこだわるのは、検査の質に加えて検査効率も向上することで、より迅速で精緻な検査・診断・治療が可能になるから。患者様の心身の負担軽減は「苦痛がない」要素のひとつであり、ひとり当たりの検査時間を短縮することで、より多くの患者様を検査することができるのです。
より早く、より正確に。それを最大限に発揮するためにも、ファイバースコープを多数設置するなど、専門病院・大学病院並みの検査設備を備えています。
地域に根付いたクリニックとしての想いをお聞かせください
私が佐賀で開業したのは、佐賀県のがん死亡率がワースト2位だと知り、少しでも地域の皆さんの力になれればと考えたから。20年ほど前でしたので、県内で“苦痛のない楽な内視鏡”と打ち出しているのは当院くらいでした。
開業当初は「内視鏡の検査?せんでよか」「大腸カメラとか怖か」なんて仰る患者様も多かったですが、「ウチは苦痛がないですよ」と根気よく説明して受けてもらって。セデーションを使わずに大腸カメラを受けた人の中には「もう終わったの!?」と驚かれる方もたくさんいらっしゃいました。
胃がん・大腸がんをはじめとする消化器疾患の早期発見・早期治療に取り組み続けた結果、今では「内視鏡検査なら夢咲さん」と認識していただけるほどになりました。これからも自分のできる医療で、もっと佐賀の皆様の為に貢献できるように精進していきたいと思います。